今回の旅は山東省。孔子の故郷・曲阜と、武侠物でもたびたび登場する東嶽・泰山のふたつの世界遺産。
そして、古典の武侠作品『水滸伝』の舞台をめぐる旅です。
2016山東ツアーマップ
前日夜、関西空港近くのホテルに前泊。空いていたからなのか、予約しておいた部屋よりランクアップした部屋にわざわざオネイサンに案内してもらって入る。
冷蔵庫の中のちょっと高そうな飲み物もみんなタダらしいが、チェックイン時ですでに21時。ペリエだけ飲んで明日に備えたが、ベッドが良すぎてイマイチ落ち着いて眠れなかった。庶民は庶民らしいのがいい。
8月19日(金)
ホテルを出て朝食。しばらく中華が続くのでとろろご飯。
迷子さんと合流してチェックイン。飛行機はほぼ満席のため座席はバラバラになる。
イミグレを無事通過しコーヒーを飲みつつ搭乗待ち。成田発は関空発より30分早いのでそろそろ離陸だろう。
今回は、ビデオカメラを持って行かない代わりに秘密兵器を用意したのだが、それはおいおい紹介することになる。
10時40分関西空港を離陸。予定では2時間50分で青島空港に到着する。
機内食を食べて映画を見ていたらすぐ着くかなと思っていたら、青島空港は比較的小さい空港のため飛行機も小型。モニタが無いので映画も見られない。窓の外を眺めたり本を読んで過ごすことになった。
3つの台風が日本に接近しつつあり、風の影響が心配されたがほとんど揺れることもない快適な飛行だった。
揺れるどころか風のおかげで、一時は30分くらい早く着くかもという話だったが、結局は5分程度早いくらいだった。
青島空港に到着。入国も荷物受け取りも特に問題なく出場。
現地ガイドが…見当たらない。なんか武当ツアーの時の上海浦東空港でもあったなあという記憶が甦る。
成田組が遅れているのかなかなか出てこないのを待っている時に、現地ガイドの王さんを発見して合流。やれやれ。
程なくして岡崎先生たち成田組と合流。現地時間13時30分、バスに乗り込み青島市内に向かう。
現地ガイドの王さん(巨体)は、青島出身で郷土愛、山東愛に溢れているのを旅行中にひしひしと感じることになる。王さん(巨体)の天敵は、乾隆帝かもしれない(謎)。
青島市は面積はかなり狭いらしい。観光客は多いのだが、観光バスが駐車できるところが殆ど無く渋滞する。
バスに乗ったまま青島のシンボルの桟橋をちらりと望む。青島ビールのラベルになっているのがこの桟橋。
青島市そのものの歴史は浅く、19世紀末から街作りが始まった。当初からドイツの影響が大きく中国とは思えない町並みだ。
到着した青島駅もドイツ様式の建物だ。

しかし蒸し暑い。連日35℃だった関西からすると、気温はさほどでもないが湿度が100%近いようで汗が滲んでくる。
この後、高速鉄道で曲阜まで約3時間半かかるので、駅側のミニストップで飲み物やおやつ(つまみ)などを調達。
ナニ陛下はスポンジボブのチョコレートを購入。なにを思ったのかすぐさま食べようとした。
今回もナニ陛下の伝説は続くとこの時すでに確信する。
荷物検査のあと駅に入り列車を待つ。切符にはパスポート番号が印字されている。
余裕をもって駅についているので待ち時間は長い。岡崎先生や添乗のM山さんといろいろ話しつつ、蒸し暑さに耐えて待った。

いよいよ乗車。こちらでは出発時間が近づかないとホームに入れない。座席につくとまもなく発車。
王さんから貰った山東の地図で通る路線を教えてもらう。青島からずっと西に進み山東省の省都・済南あたりまで行き、そこから南下して曲阜に至る。
この西に向かう線路は、所謂在来線の線路のため、高速鉄道の新しい車両でも最大時速180キロまでしか出せない。済南を過ぎ、北京-上海間の路線に入ると時速300キロを出すようになる。行程の4分の3が本気出せないわけだ。
3時間の低速ゾーンを進むうちに、外は夜の闇に包まれていく。
山東省は中国でも随一の農産物産地。高い山も殆ど無く、平地が多いため一面の畑が広がっている。
トウモロコシが多いが、かつて日本からビニールハウスや様々な作物果物の種が入ってきてからは、ありとあらゆるものが栽培されている。青島の北東にある煙台は、「ふじ」から品種改良されたりんごが名産品だ。
窓の外は一面畑なので、暗くなると明かりもなく何も見えない。

高速路線に入るとものの30分で到着する。しかし、低速の時にのんびりしすぎたのか10分ほどの遅れだ。

さすが孔子の故郷。しかも武侠っぽいのが表示されていた。
スーツケースを引いて駅を出て、バスが待つ駐車場に移動しようとした時、猛烈な雨が降りだした。ついでに雷も時折光っている。
雨宿りしつつバスが近くまで来られないかと王さんが電話で話していたが、駅の近くはバスは侵入も駐車もできないらしい。
ナニ陛下が雨が止むポーズを試みるが、合間に雨乞いのポーズをするのでさらに滝のような雨になった。

濡れる覚悟で傘をさして駐車場まで歩くことも考えたが、途中に水たまりか川かというようなところもあるらしく、スーツケースを持ってでは無理らしい。ああ、列車が遅れなければ…。
こうして武侠ツアー恒例のトラブルが初日に発生した。
30分ほどの雨宿りの後、バスを諦め直ぐ側まで入ってこられるタクシー4台に分乗してホテルに向かうことになった。
時折激しく水しぶきをあげて走るタクシー。すでに21時近くになっていた。
空腹を覚えながら、曲阜の街なかに入ってきたのを眺めていると、突然「令狐冲」というネオンサインが目に飛び込んできた!
つづく